皆さんのこんにちは
今回はドローンの第三者上空の定義とそれに関する注意点です。
個人的にも調べてて、それでええんか?ってぐらいややっこしいことになってます。
一応中級以上の記事になると思いますので、細かい用語説明は省略していきます。
それでは始めましょう
大前提:第三者上空飛行の原則禁止
まず、ドローンの飛行形態として第三者上空での飛行は原則禁止されます。
原則の禁止なので、当然例外はあります。
それがレベル4飛行。(有人地帯+目視外飛行)
レベル3.5以前は無人地帯を前提にしているため、有人上空は想定外ということになります。
じゃあ、レベル4飛行すればいいじゃないという話ですが。
レベル4飛行実現のためには『機体認証+1級の操縦者技能証明』が必要になります。
技能者証明は、要は国家ライセンスです。教習所通うなりして技能試験をパスする必要があります。
機体認証の方は、単に売ってる機体というわけではなく、製造会社が機体について国の認証を受ける必要があります。
これもわかりにくいので、端的には国の公認を受けた機体のみが使えると思っといてください。
処で、この「国の公認を受けた機体」ですが、令和6年6月現在、実証実験用の1機種程度だったと認識しています。
つまり、一般では第三者上空での飛行はほぼ無理と言って差支えないということになります。
小前提:第三者上空の定義
さて、これまでは第三者の定義については明らかにされていましたが、『その上空』の定義は少し曖昧でした。
処が、令和6年6月10日の通達でこのような解釈が提示されました。
「第三者上空」とは、(1)の「第三者」の上空をいい、当該第三者が乗り込んでいる移動中の車両等(3.(7)に例示する車両等をいう。以下同じ。)の上空を含むものとする。この場合の「上空」とは、「第三者」の直上だけでなく、飛行させる無人航空機の落下距離(飛行範囲の外周から製造者等が保証した落下距離)を踏まえ、当該無人航空機が落下する可能性のある領域に第三者が存在する場合は、当該無人航空機は当該第三者の上空にあるものとみなす。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mlit.go.jp/common/001303820.pdf
従前は「直上」がその範囲と思われていましたが、「落下距離も考慮される」という解釈が示されました。
なんだそれだけ?と思われるかもしれませんが、これが結構重要なポイントです。
まず『製造者等が保障した落下距離』ですが、レベル3,レベル3.5に向けた機体については公開されているものがありますが、それ以前のレベル2飛行で行う機体については、明示がありませんため、自身で計算することになります。
流石にそれは…ととも思うのですが、現状解決策がない。
さて、話が進まないので、一部機種についてDJIさんが公開している落下保障距離を前提に話を進めてみましょう。
落下距離は風速など気象条件により変化しますが、保障資料を読む限りポイントとなるのは飛行高度と飛行速度です。
ドローンの飛行許可制度上、速度規制はありませんが飛行高度に関しては150m未満が一つの水準となっていますので、高度140m飛行を前提としてみましょう。
DJIさんの資料によれば、高度140mを5m/s以下で飛行する場合、落下距離は56m。同11m/s以上15m/s未満の飛行で落下距離は111mと資料には記載されています。
これを元にざっくり理解すれば、高度140m飛行をする場合、少なくとも進行方向のおおよそ50m先は立入管理が必要な範囲となるわけですね。
ちなみに、最小値として、高度30m以下を5m/sで飛行する場合には落下保障距離は25mと提示されいます。
(ある意味で、これが最小の立入管理範囲でしょうか)
問題:既存制度との整合性
さて、この通達を受けて個人的に気なったのは既存制度との整合性です。
特に非特定飛行と第三者上空の制度設定がかみ合わないのではないかと思ったのです。
状況を整理しましょう。
高度140mでの飛行は、許可が不要の非特定飛行です。(カテゴリー1飛行)
処が、同高度を5m/sで飛行すれば、おおよそ50m先は第三者上空を定める範囲となります。
では、その50m先に立入管理措置は必要ないのか?という疑問が生じたわけです。
従前は第三者上空を直上直下と解している部分もあったので、とりわけ立入管理措置がなくとも目視が可能な範囲に収まっていたため、とりわけ必要性については議論がされていなかったのだろうと思います。
国土交通省の資料にも、カテゴリー1の範疇について立入管理措置が明記されているものは見当たりませんでしたし。
現に法令もこのような書き方になってます
(第三者が立ち入つた場合の措置)
第百三十二条の八十七 無人航空機を飛行させる者は、第百三十二条の八十五第一項各号に掲げる空域における飛行又は前条第二項各号に掲げる方法のいずれかによらない飛行(以下「特定飛行」という。)を行う場合(立入管理措置を講ずることなく飛行を行う場合を除く。)において、当該特定飛行中の無人航空機の下に人の立入り又はそのおそれのあることを確認したときは、直ちに当該無人航空機の飛行を停止し、飛行経路の変更、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがない場所への着陸その他の必要な措置を講じなければならない。
屁理屈ですが、この書き方だと非特定飛行において、第三者の立入に関してはほっとんど規制されてないんですよね。
急に第三者上空の範囲が広がったもんだから、通常想定していたカテゴリー1での対応と祖語か生じているようにかんじます。
回答:問い合わせてみた
流石にわからんままだと怖いので、ヘルプデスクに問い合わせてみたところこんな回答が。
『カテゴリー1飛行においても、立入管理措置を行ってくれ。』と。
いわれて歯向かう気はさらさらないのですが、現状の説明文や法令から見るに、今回の第三者上空の範囲拡張は結構インパクトがあるのだなと思います。
ちなみにですが、おまけとして聞き及んだ話で
「カテゴリー1飛行の際に、墜落して、第三者又は第三者物件に接近した場合は、特定飛行の30m未満違反とみなされることがある」
との回答もあったので、これほっとんどカテゴリー1飛行は無理ではと。
終わりに~記載しながら考えていたこと~
この記事を書きながら、少し気になってきた部分があります。
立入管理措置がおおよそ施せない立地の上空、例えば山林上空については、原則飛行不可とみるのでしょうか。
話がぶれるので、メインでは触れなかったのですが、第三者上空の除外項目として、自動車や建物内など第三者がドローンとの接触を回避できる状況であれば、第三者上空には当たらないという通達があります。
じゃあ、森林ならばどうかと問い合わせてみたのですが、結果は駄目だと。
とはいえ、森林内に立入管理措置を置くというのもおおよそ想定が難しく、それでも人通りがほぼない山林では立入管理が必要となるのでしょうかね。
この辺は次回予告っぽいですが、また調べてみたいと思います。
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