今回は雑談枠ですね。
近年、AIの進化がさまざまな業界で話題になっています。特に、「AIによってなくなる仕事、増える仕事」といった文脈で語られることが多いですね。行政書士の仕事も例外ではなく、「行政書士の業務はAIによってなくなるのか?」という議論は、ここ数年でよく耳にするようになりました。
僕自身、この問いに対して「行政書士の仕事は、いずれAIに取って代わられる可能性がある」と考えています。なぜなら、行政書士の業務の大部分は書類作成が中心であり、この分野はAIが得意とする領域だからです。ほしい書類を要求すれば、お出しされる環境がくれば、作り手は必要なくなります。
しかし、だからといってすぐに仕事がなくなるわけではないとも思っています。
そもそもの起源と今
行政書士の仕事の起源は「代書屋」と呼ばれる業務でした。昔は、国民の識字率が低かったため、役所に提出する書類を代わりに作成する職業が必要とされていました。しかし、現在ではほぼすべての人が読み書きできます。それでも行政書士という職業がなくならなかったのは、「書類作成」以上の価値が求められていたからです。
同じように、電子申請の普及も「行政書士の仕事がなくなる」と言われる理由の一つです。しかし、実際には電子申請ができる制度が整ったとしても、国民がすぐにそれを活用できるわけではありません。例えば、自動車の登録や建設業の許可、入管業務など、確かに電子申請の制度は整ってきています。しかし、申請の要件を理解し、正確に書類を準備することは、一般の人にとって簡単ではありません。そのため、電子申請の普及によって楽になったのは、むしろ行政書士側であり、「行政書士の業務を国民に代わって電子申請で行う」という新しい形の仕事が生まれたのです。
AIの導入も、これと似たような状況になるのではないかと思っています。AIをうまく活用できる行政書士は、むしろ業務の効率化が進み、より多くの仕事をこなせるようになるでしょう。実際、僕もAIを活用しており、ブログのネタ出しや文章作成の補助として使っています。ただ、AIが出力する文章は、僕の意図とズレていたり、誤りがあったりすることも多いです。そのため、最終的には人間のチェックが必要になります。
この「人間のチェック」が結構引っかかりです。文字通りチェックするための専門的知識が必要とされるので、AIが100%回答する状況を前提にしなければ、AIがとってかわるということは無いのかなとも思います。
安定のための試行錯誤
また、業務においては「トライアンドエラー」が重要です。実際僕も業務においてもそうですし、このAIの利用に関しても、相当「トライアンドエラー」を行っています。しかし、一般の事業者が行政手続きに関わる回数は多くても数回程度です。例えば、建設業許可の申請は、一つの会社で1回、多くても特定への変更、営業所の追加、業種の追加などで数回程度。更新も5年に1回しかありません。5回更新すると、年月に直せば25年…四半世紀…新人がベテランになって、やれ独立や定年後の事を考え始める時期ともいえますよね。
この状況で、許認可申請に合わせたAIを使いこなすスキルを身につけるのは難しいのではないかと思います。ある意味で、今と状況が変わらない。今は書き方の肝は数回では…という状況が、今度はAIの使い方は…に置き換わっただけ。
その意味で、専門家の価値というのは、「ツールが変わるものの、本質的には変わりない」いえるのかもしれません。
AIは仕事を…
こうした状況を踏まえると、「行政書士の仕事はAIによって形式的にはなくなる状況はくるかもしれないが、実際には、そのこに至るハードルは低くはない。」というのが僕の考えです。AIを駆使することで行政書士の仕事が減るのではなく、むしろ新しい業務形態へと進化していく可能性が高いのではないでしょうか。
やはり専門家業務はわるい文明??
本来であれば行政書士という仕事は「なくなった方が良い職業」とも言えるかもしれません。…こんなこと言うと、先輩に怒られるかもですが、社会理想的な話です。というのも、理想的には国民が自分で全ての手続きを行える社会の方が、よりシンプルで分かりやすいはずだからです。実際、弁護士や司法書士、税理士などの他の士業も、基本的には「国民が自分でできるべきだけれども、専門知識が必要だから存在する」という立場だとおもっています。
とはいえ、社会の安定性や確実性を求めていくと、やはりどうしても手続きが凝ってくるものです。そして手続きが凝ってくると、内容が難しくなったり、濫用されると今度は審査側のリソースが枯れたり…とそういったことを防ぐことを目的としたバランスの元で専門家業務というのが成り立ってると思います。
つまり、手続きの煩雑さやリソースの問題があるため、専門家の存在が求められているわけですから、もしAIが極めて優秀になり、国民全員がAIを使いこなせるようになれば、確かに行政書士の仕事はなくなるかもしれません。ただ、現状ではそのレベルには達しておらず、また侮っているわけではないですが、それが満たされる時代はいつやってくるのか予想ができないというのが、今の感覚です。
終わりに いたちごっこ
今回は現代の対象としてAIを取り上げましたが…実のところ、先の電子申請もそうですがこの手の「現代の仕事VS革新技術」みたいなのは、いたちごっこだろうと思います。
実際10年前はAIは来るぞ来るぞと言われて、今はこんな感じです。じゃあ10年先はどうでしょうか。
AIを超えたもの…それこそSFな世界を借りれば、人間に近い感情を搭載したロボットや、アルビーバックするムキムキなマシン…、もしかしたら、ポケットサイズの異次元ツールなんかもあるかもしれません。
で、それらが出てきたときには、またこれが仕事を…を繰り返すような気がしてます。
現状、行政書士にとって一番脅威なSF要素って何ですかね…またそれも雑談にしてみましょうか。
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