皆さんこんにちは。
今回は行政書士の職務倫理規定に関してです。
実はあるんですよね、職務倫理規定。
正確には行政書士職務基本規定として令和6年の4月に改定されたものがあります。
この内容ですねSNSとかって行政書士の間でちょっとがやがやとした部分はあったんですけれども、規定は規定なので、今回ちょっと特徴的な部分を紹介できればなというふうに思います。
なんでこんなものを記事にするのかと言いますと、僕たちが守らなければいけないルールであると同時に、これをご覧になってる皆様にも「これは行政書士にお願いしてはいけませんよ」と いう内容にもなってますので、是非一読いただければなと思います。
それでは始めましょう。
基本規定
(行政書士の責務等)
第1条 行政書士は、誠実にその職務を行うとともに、行政書士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
2 行政書士は、国民の信頼と期待に応えるべく、自らの行動を規律する。
職務規程の一番最初の条文になります。
内容的には特に細かいことを言っているものではないですね。誠実に職務を行いましょうという内容です。
ただ、特徴的なのは「国民の信頼と~」というところで国民を相手にしているというところがちょっと目新しいかなというふうに思います。
一般規律
(名義貸しの禁止等)
第7条 行政書士は、自ら職務を行わないで自己の名義を貸与し、その者をして職務を行わせてはならない。
2 行政書士は、行政書士の身分を有したまま、団体、法人等に雇用され当該法人又は団体等に行政書士の業務を行わせてはならない。
続いて一般規律の内容ですね。名義貸しの禁止が明記されています。
名義貸しというと、ちょっと馴染みがない人もいるかもしれませんが、一言で言えば、行政書士の名前で、ほかの人に行政書士の事務をやらせてはいけませんよ、という規定ですね。
この話を考えるときに非常に難しいのは業務連携です。
お仕事紹介しますよと、お電話連絡お話あるんですけれども。こういうのがあったとしても、最終的には行政書士の名義で仕事をしないといけません。
外国人業務なんかではよく聞く話なんですけど、会社さんが取ってきた案件に会社さんの名前で出す前提の書類を行政書士が作ってるっていうのはアウトです。同様に会社さんが作った書類を自分が作ってないのに自分がつくっていうていで職員を押印するとももちろんアウトです。単なる偽造ですからね。これ。
二項の方は少し特殊な規定ぶりですけれども。 行政書士の人が自分が雇用されている法人団体に行政書士の業務を行わせてはいけないということなので、副業とか別業で会社を持たれてたり、法人もたれたりしてる方がそこの従業員使って行政書士の業務をやったりするのももちろんだめですよ。そういう規定になってます。
(秘密保持の義務)
第11 条 行政書士は、正当な事由がなく、その職務上取り扱った事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなった後も、また同様とする。
2 行政書士は、その職務に従事する補助者及び事務職員等に対し、その者が職務上知り得た秘密を保持させなければならない。補助者及び事務職員等でなくなった後も、また同様とする。
3 行政書士は、事件記録を保管し、又は廃棄するに際しては、秘密及びプライバシーに関する情報が漏れないように注意しなければならない。
よくある守秘義務と言われるやつですね。
当然ながら、ホームページなどのお客様の声なんかを勝手に書くことはできません。
この取り扱いをめぐって一番悩ましいのは犯罪行為の告白があったときに、我々はどうするべきなのかっていうところに尽きるのかなと言うふうに思います。
(不当誘致行為の禁止)
第15条 行政書士は、不正又は不当な手段で、依頼を誘致するような行為をしてはならない。
2 行政書士は、金品の提供、供応その他不当な行為により行政書士の業務の依頼を誘致してはならない。
3 行政書士は、依頼者の紹介を受けたことについて、その紹介の対価を依頼者の報酬に上乗せしたり、職務内容と比較して法外な金額を請求したりしてはならない。
4 行政書士は、依頼者の紹介をしたことについて、その対価を要求してはならない。
実は今回の規定で一番もめた内容。
内容だけを読み解くと、営業行為に関しての規制ということになりますね。
一番目を引くのは三項です。『紹介の対価を報酬に上乗せすることを禁止』
よくわからんと思われますが、要するに紹介をもらったときに、紹介料を払う文化っていうのが一部にあったんですよ。で、この紹介料を払うとなるとやっぱりその分損失が出ちゃうので、それを依頼者への報酬額に転嫁するという手法を禁止すると言う内容ですね。
ものすごく具体的な話をしてしまうのであれば。ラン〇ーズさんとか、ミツ〇アさんのようなあの手の仲介業者が噛んだ時に「仲介手数料を前提とした報酬額の設定をする」というのも、この規定でちょっと駄目なんじゃない?と話題になりました。
同様に第二項は金品の提供によって行政書士の業務の依頼を誘致してはならないともあるので。このこうしたその営業仲介について、大丈夫なの?あかんのでは?というのが。今回の規定の肝ですね。
そもそもそういった仲介業者さんのお話(僕のところにも営業の電話はよーくかかってくるのですが)は以前から倫理的に大丈夫なの?という声はあったんですよね。というのも、ほかの士業さん特に弁護士さんはダメらしいので(司法書士さんはどうだったかな?)同じ士業として、ほかの士業はダメなことを行政書士がオッケーというのはどうなの?というところで、今回規定に設定されたと。いう運びです。
ただ、この規定、どこまでがだめかというのは、まだはっきりしないところはあるんですよね。
懲戒事例を重ねて、あーこういうサイトはダメなんだな、こういう業態はダメなんだなっという見地が蓄積されていく過程にあるのかなと。
自衛的な話になるんですけれども、僕個人的にはその営業代行、要するに『紹介しますよ。その成功報酬からいくらいくら払ってくださいね』というスタイルは、やっぱりこの15条違反に当たるんじゃないかなと思っています。
なので、わたくしのところに来たこの手の営業のお電話はすべてお断りすると言う対応をさせていただいております。
依頼者との関係における規律
(報酬)
第34 条 行政書士は、事件の受任に際して、依頼者に対し、事件の難易、時間及び労力その他の事情に照らして、適正な報酬を明示し、かつ、十分に説明しなければならない。
2 行政書士は、不要な書類を作成し、又はみだりに報酬の増加を図る行為をしてはならない。
3 行政書士は、不当に廉価な報酬で事件を受任してはならない。
4 行政書士は、事件の受任に際して、社会通念上合理的な計算根拠をもって報酬を決定しなければならない。
報酬の明示規定ですね。
個人的に面白いなと思ってる規定は第三項ですね。行政書士の報酬額は一応自由報酬なので、事務所ごとに設定することができるんですけれども、それに対して『不当に廉価な報酬で事件を受けてはいけない。』という規定が増えたのは個人的に少し面白いなというふうに思います。
最近ホームページとかDMとかで報酬の値下げ合戦が起こってたというのは事実なんですよね。
だいたい相場として3万円ぐらいの業務を5000円で受けます。みたいな話を聞くこともあるので。
基本的に物を買う側、お金を払う側としては安ければ安いほうががいいという価値観が根付いたのが、ここ最近だとは思うんですけれども。とは言え、それで価格の破壊も限度を過ぎると自分たちの首を絞めますから。
僕たちの仕事って基本的に原価がないんですね。労力というコストはかなりありますが、単純に物を売る場合は売るものを作るのにいくらかかったみたいな原価がまず試算にあって、そこから何割かみたいな値つけかされることもありますが、僕らの仕事はその手の原価で行けば紙とペンですかね。あと電気代。
とは言え、そこに至るまでの知識であるとか。日ごろの研鑽であるとか、そういった知識労働の部分が大多数を占めているので、そこをしっかりと評価思考した値段にしなさいという規定だと思います。
なお、4項の方に関して合理的な計算の根拠という規定があるんですけれども、これはおよその事務所でだいたい30分5000円から1万円ぐらいがベースにあるんじゃないかなと言う風に思ってます。
というのも、相談料がその設定のところが多いので、それがベースにあって、作業としては何時間程度、何日程度かかるから。これぐらいという設定が基本かなというふうに思っています。
終わりに~特徴的なものをかいつまんでみたが~
今回はこの辺で終わろうと思いますどうでしたかね?
意外と、当たり前じゃんって思うこともあれば、ええ、そんなことまでルール化されているの?という部分があったように思います。特に報酬の最低額というか、廉価でやっちゃダメっていうのはなかなか馴染みがない。
この規定自体は全部で80条ほどあります。 まあ、一部はね、あの変更に関しての規定なので、ルール化というほどではないんですけれども、まあそれぐらい職務倫理の規定があると言うふうに思っていただければなと思います。
その中で、とりわけ僕たちの間で話題になりやすい規定を今回ピックアップさせてもらいました。特に紹介料の規定に関しては、これが発行されたときに非常に話題になった規定です。 実際、それまで行われていた営業スタイルのいくつかが禁止されるんじゃないかというふうに話題になって、現状ちょっと宙ぶらりんになっちゃっている分ですね。
行政書士のルールって行政書士法以外にもこんなことがあるんだよって言ってぐらいに思っていただければ幸いです。
それではまたお会いしましょう。
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