法律の言葉あそび。

皆さんこんにちは。

今回は対して命題のない話題です。かるーいコラム系。

テーマとしては言葉の食い違い。

業務制度的な表現と一般的な表現解釈が異なることがちらほらあるので
この辺をちょっと解説出来たらなと

実益はほっとんどないですが、僕らと会話するときにちょっと詰まってるときは
察していただけると嬉しいという話。

それでは始めましょう。

目次

1免許

いきなりちょっと驚かれる単語ですかね。
「免許」というと運転免許で結構おなじみの単語ですから。

なんでこんな単語が上がってきたのかというと
実は、行政区分上「免許」という制度は存在しないのです。

制度上の区分として
許可:一般的禁止を解除する行政行為
特許:特権や特別の地位の付与。(例:電気事業)
認可:特定の法律行為に対する、行政の追認(電気料金の値上げ等)「
があります。

この区分に直すと、自動車運転の免許は正しくは「許可」というくくりになりますね。
ドローンの飛行許可動画の時にもネタにしたのですが、どうも許可という単語は一般に馴染みにくく
免許の方が通りがいいんですよね。

別に対した問題にはならないのですが、ドローンの様に制度が並列している場合、免許とひとくくりすると
どっちの話か分からなくなるので、注意がいるのです。

2ビザ

外国人が日本に入国する際に必要なあれです。
これもビザ(VISA)と表現されますが、正しくは在留資格と表現する場合がほとんど
もう少し正確に見てみましょう

ビザ:入国希望者が在外公館において申請する査証
在留資格:日本国内の入国在留管理局(俗にいう入管)で外国人に対し認定されるもの。

制度上は、ビザというのは厳密には外国で取得するものということになります。
「ビザ取ってくれ」といわれると、わかってはいるんだけど、在留ですよね?って聞き返します。

おそらく、日本人の方が外国に出る際には「ビザ」が必要ですから、その流れで定着してるのかなと。

この実際と定着の差異は結構頭を悩ましてくれます。
例えばこういったネット記事や広告の観点ですね。

『ビザ専門の行政書士です』

って書いてしまった方が、SEO的にも世間の理解的にもわかりやすいのは確か。
しかし、実態を知る実務家としてそれでいいのかというジレンマ。
気にはしてないですが、品のないツッコミをすれば「ビザ専門」は外国行きですからね。
(あるいは国内日本人向けにビザ代行)

3永住(権)

またまた外国人関係。
これは最近ニュースで話題。
外国人永住者の制度を巡ってあれやこれやと話題になってました。

ここで注目していただきたいのは永住「権」
実際のところ、永住権なるものは存在はしません。

外国人の日本国内における憲法保障(人権保障)はマクリーン判決で示されており、同判決によれば【在留外国人の憲法保障の範囲は、その性質上日本国民のみを対象とするものを除いた範囲内である】(要旨)とされています。
また、同様に最高裁判決の中には、【外国人には、一時外国へ旅行する自由は憲法上の権利として認められてない(日本に再入国・帰国が保障されているわけではない)】とするものがあり、外国人に対する日本国内に定住する憲法上の権利については、在留制度の範囲の中でのみ認められるとするのが、通説的な理解です。

難しい言い回しをしましたが、要点だけかいつまむと
①外国人が憲法によって保護されるかは、権利の性質による。
②財産権や選挙権のような、憲法上の権利として永住権は存在しない。
(仮に存在するとしても、それが外国人に認められる可能性は、権利の性質上極めて低い)
③外国人の「永住」については、在留資格制度(上のビザと混在されている奴)の範囲で検討される。

とどのつまり、「永住」という単語のイメージから、ずっと居れるものであり、日本人と同様の権利のような様態を醸しだしていますが、実態としては在留資格制度のうちの1つであり、未来永劫権利として約束されたものではないというところでしょうか。
故に、滞納処分で取消し等の話が出てきてるんですね。

みなさんが思い描いている「永住」については、「帰化」制度がそれを受け持っている格好になります。

おわりに~言葉が変われば意味がかわる~

少ないかもですが、今回はこの辺で。

ちょっと小うるさいネタだったかなとも思います。

僕がこんなことをネタにするのは、法科大学院時代の先生の教えがあったからだと思います。
先生の教えでは、「条文があれば文言がそこにあり、文言があれば解釈をはさむ必要がある。よって文言が変化すればそれは別の解釈の余地を検討することになるのだから、文言は大事に扱いなさい」というものでした。
かの先生の授業では、『令状の発付』を令状の発布と書いたり、令状の発行などと書けば単位がおなくなりになるという噂でした。(あくまで噂、です)

この感性から言えば、ビザがビザとして広まっていき、いわんやそれを取り扱う行政書士が間違いを広めることに加担しているような現状というのは、本当は良くはないんだろうなと思います。

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