建設業許可をススメない。

皆さんこんにちわ。

今回は、建設業許可をススメないということで、建設業許可を取得することによるデメリット面を紹介していこうと思います。ちょっとネガティブ。

僕の本来の業種的には、「ぜひ取りましょう」が正しい気もするのですが、こういった手合いはデメリットも勘案せずにススメるのは不誠実に感じるので、この手のネタにしました。

少しだけお付き合いいただれればと思います。

目次

その1 決算変更届がめんどくさい

いきなり意味不明な単語が出てきたかもしれません

『決算変更届』ってなんぞやというところから話をしていきましょう。

建設業の許可業者は毎年度の決算終了後4か月以内(地域によって差があるかも)に許可行政庁に「決算変更届」を提出する必要があります。

決算変更届の構成は
・建設業財務諸表
・直近3年の各事業年度における工事施工金額(通称直3)
・工事経歴書
・事業税の納税証明書
・その他変更事項に応じた書面
となります。

これまた聞きなれない単語のオンパレードですね。
順番に簡単に見ていきましょう。

・建設業財務諸表
一言でいうと、「確定申告などの税務処理に使用している決算書を建設業向けに読み替えたもの」です。
単純な売上と経費の関係ではなく、建設業工事の売上とそれに対する経費の分類を記載することになります。
完成工事原価とよばれる部分でもありますね。

この制度の主な目的は、建設業社が適切に工事を実施したうえで、その支払いを受けているかを調査するためです。

許可業者が年商1億ですと掲げていても、その実副業で8割程度埋めているような状況では、工事施工会社としての信頼は怪しいでしょう。
建設工事の売上は2000万ですと素直に言ってもらった方が当然信用に足ります。
また、経費の流れについても同様です。適切に人材などに注いでいるならともかく、使途不明の経費が多いのではやはり信用という意味では難しいと思いませんか。

お金まわりを明確化することによって、適切な建設業者を選べる環境を構築することが目的にと言えます。
また、少し先のお話しですが、こうした財務状況は公共工事受注に向けての第一関門でもあります。
公金を注ぐ工事を依頼する会社は、同様に適切な工事経歴や技術を持ち合わせ、健全な財務状況の会社を選定する必要があるからです。

そんなこんなで、決算書を建設業用に書き換える必要があります。

・直3
略称で。
端的には各事業年度ごとに、それぞれ許可を受けている業種ごとにどれだけの売上があったかを報告することになります。
これも上記と同じく、事業者がどの分野に長けているかを判断する資料となります。
「内装工事と管工事持ってるけど、管工事は売上0」は管工事屋さんというより、内装屋さんでしょう。
尚、許可を受けていない軽微工事については「その他」として記載します。実は結構重要。

・工事経歴書
年度内に、許可工事についてどのような工事をしてきたかの記録を記載します。
元請け下請けの別・工事名・場所・管理技術者(配置技術者)・請負の額・期間等を記載します。
経審を受ける場合は、記載のルールがあるのがちょっと難しいんですよね。

ここまで書いてピンと来られた方、いらっしゃるかもしれません。
そう、実は地雷が多い部分なんですよね。それはまた今度。

・税証明、変更事項
特に書くこともありませんが、当然納税はしないと更新ができません。
変更事項は会社の役員の変更や定款の変更などが有った場合には届け出る必要があるので、ここに入ってます。
なお、変更事項によってはより短い期間で届け出る必要があるので注意してください。

その2 専任技術者の制限がある

以前、許可取得のススメで少しお話ししましたが、専任技術者の主な活動場所は営業所です。
現場ではありません。

専任技術者は営業所に常駐が求められます。
おや?では一人親方はどうしましょうか。

この点に関して、実際の運用上は一日で事務所と往復できる現場の範囲であれば事務所を出て現場に赴くことが認められています。

一日で事務所と往復できる範囲というのは、ちょっと曖昧ですが、極端に言えば都道府県内が一つの基準です。
とはいえ、僕の事務所の高槻なんかであれば、京都南部や兵庫県西部に赴いても差支えはない様に思います。
他方で、南北海道から北北海道の方はどうなんでしょうね…現地の行政書士さんに聞いてみたいところです。
この辺の線引きは確たるものがないというのは正直なところで、ある程度の常識を元に考えるしかないです。
個人的には隣接都道府県の接合部分都市からアクセスのよい県庁所在都市が限界事例かなという肌感覚です。
あくまで、大阪府北部が高速道路のジャンクションや鉄道など、やたらとアクセスのいい立地なので、実態感覚として認められるかなぁ?という程度。
高槻市の事務所から和歌山県の南部となると…うーん。

この辺は一人親方さんが許可を取る上での大きなデメリットかもしれません。
〇〇で工事あるよと言われても、事務所を空にはできないので、御断りを入れる機会が生じるやもしれません。
事業拡大路線が常に正しいとは言いませんが、許可を取るなら作業員さんの一人はいた方がいいのかもしれません。

その3 許可の維持がややっこしい

許可を取る際に満たした要件を保持する必要があるというのが結構難しかったりします。

許可の要件は、取得時に満たせばよいというものではなく、許可を得ている間は引き続き継続して満たし続ける必要があるのです。

例えば常勤性

常勤性の確認の一つに報酬額の項目が検討されます。
報酬額が低すぎると、副業等が推知されるため常勤性が満たせなくなります。
マイクロ法人などがたまーに行う、『報酬額を引き下げて、実態としては経費処理であれやこれやする』スキームは報酬額が引き下がるため、常勤性が満たせなくなって許可が落ちるなんてことがあります。
(あれ自体、税制上どうなんだというお気持ちもありますが、ここではスルーします)

以前、動画か何かでお話ししたように、経管専技の方を雇用として継続させることもポイントですね。

あとは欠格にはまらないように。
特に、喧嘩とか交通違反の放置とか、しょうもないことで許可が飛ぶってのは本当にもったいないですよ。

その4 会社情報が公開される

ここまで書いてきた通り、許可業者は行政庁にあれやこれやと書類を提出することになります。

その中で、個人のプライバシーにかかわるものは除かれますが、基本的に会社の運営や事業者選定に対する適正な判断に資するものは公開されます。

一例として、先に上げた『決算変更届』を見れば、会社ごとの年度の事業規模や工事はある程度分かりますし、事務所の住所もネットで検索できます。

仕事をする事業を立ち上げるという意味ではある程度仕方のない部分ではあるのですが、そうした要素も含まれていることはご理解ください。

終わりに ~それでも許可を取るなら~

僕が言うと素晴らしく営業っぽいですが、行政書士の関与はおススメです。

日常の業務についてあれこれ相談は面倒くさいかもしれませんが、こと決算変更届だけでも整えると色々リスクヘッジできます。
高々年一の報告と思われるかもしれませんが、結構地雷が多いです。
大阪府庁では閲覧が可能なので、勉強をかねて拝見することあるのですが、結構危ういものを見かけます。

因みに、行政書士が作成した場合、職印が押されているので行政書士作成か事業所の内製かはわかります。
傾向的には(当然ながら)内製の方がちょっと危ない傾向にあるのは事実ですかね…。

こと、決算変更届ですが、行政書士の報酬相場は経審なしで大体3万円前後という感じです。
最近は物価もアレなので、4~5万ぐらいが相場かもしれません。
とはいえ、月割りすると月5000円行かない程度で、決算変更届について顧問がつくと考えると相当お安いのではないでしょうか。

今回はここまでにします。

お付き合いいただきありがとうございました。

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